今に生きる
震災から8年になる3月10日。京都、大谷大学の有志ボランティアTAT(Tomoni
Ayumi Tai/Transcending All Together)と仙台市若林区沿岸部の皆さんと交流会を
行った。場所は今泉IC近くの集会場。ここでの交流会も何度目かになるので、仮設住
宅から移った方の他にも地元の人や通りすがった家族が参加してくれていた。
大谷大学の被災地での支援活動は26回目になり、これまでの先輩たち同様、今回で
卒業する学生も多い。ストラックアウトや型抜きで遊びに来る子どもたちや、かす汁
や蛸飯を食べに来てくれる人たちと顔見知りになって話し込んだり、初めて来てどう
話しかけていいか戸惑いながらも、一緒に遊んだり食事を運んだりして少しずつ話を
している姿もある。震災当初、小中学生だった彼らが遠方から足を運び、震災後の今
を生きる人々と一緒に笑い、話を聞いてくれる。TATの名前にある「共に歩みたい」
という願いがこの場をつくり、次の人たちに繋げてくれているのを感じる。
仙台組同朋総会2
4月17日。この日、住職や坊守、門徒会や推進員、教化委員の皆さんをはじめ、
役職のあるなしに関わらず、仙台組内の多くの方々が集い、同朋総会が開かれた。今
回の総会の議題は教区改編について。東北においては奥羽教区(青森県・秋田県)、
山形教区(山形県)、仙台教区(岩手県・宮城県・福島県)を1つの東北教区とする
など、改編にあたって東北三教区の代表者で進められてきた地方協議会の合意内容を
総会に参加した仙台組の人々と共有するのが目的。仙台教区では同様の会を8つの組
全てで行っていく。
その他の合意内容として、東北教務所は仙台市の仙台教務所とし、能代市の奥羽教
務所は教務支所として数名の所員を置き、山形市の山形教務所は廃止するが、定期的
に所員が出向して事務を行う予定。それぞれの施設はこれまで同様、旧教区の教化拠
点となる。
三教区をまとめるにあたって様々な議論がなされてきているが、今後改編を進める
にあたって、各教区各組説明会の後、地方協議会での合意、教区会・教区門徒会での
議決を経て、教区合併の準備委員会を組織して更に詳細に議論を深めていくことが必
要となる。これからの教区には何が必要なのか。そのために私たちにできることは何
なのか。1人ひとりが問いとする中で、旧教区で進められてきたことやこれまでの関
係性を崩すことなく、新たな体制を迎えられることを切に願う。
これからのお寺のあり方とは?
仙台組組長として来年度が最終年度となります。この5年間何をなしてきたのかと自
問自答すると、答えのない問いをもつことばかりでした。教団の方針により、門徒戸
数調査、教区改編等について皆様から頂いたご意見を話すことはできても、組長とし
てどうなのか、答えを出せないまま、あまり物申すことができずに今まで来てしまい
ました。残りの1年間で何ができるか思案しているところです。
さて、最近の葬儀事情を考えてみると、ここ数年で大きく変わったことがありま
す。少し前までは亡くなったことを誰に知らせるか、親族、関係者、町内会、わかる
範囲で連絡をしていたものですが、今は、極力知らせない方が多く見られます。先日
も私のいる町内会でもわざわざ会長に、「皆さんには知らせないで下さい」と言われ
る方もいました。
テレビ、週刊誌、ネット等の影響もあり、家族葬、直葬などの葬儀の形態が多くなっ
てきています(家族葬と直葬では坊主の位置づけが違いますが)。埋葬についても散
骨、樹木葬等今まで考えなかったことが、当たり前のように選択されています。
時代とともに寺の位置づけが変わってきたことで寺の役割も変わってきました。寺院
運営という観点から考えると、今までのようなあり方ではいずれ寺院を維持すること
が難しい時代が来ています。
寺本来の役割りとして、人間が「生きる」こと、「死ぬ」こと、「人間とは何である
のか」を問い直す場であったものが、今は問い直すことが薄くなっています。教育、
福祉等のほとんどを宗教…